自宅でも輸血はできるんです。

某大学病院からご紹介いただいた患者様です。

病名は本態性血小板血症から骨髄線維症に移行し、赤血球の輸血依存状態であった方です。末梢血中にも芽球が出現し始め、白血病への移行期でした。大学病院で病名告知され、長くはないことを悟り最期は自宅で迎えたいとのご希望から、自宅で輸血のできる訪問診療のクリニックを探され当院の訪問診療開始となりました。生活はご夫婦二人暮らしで、キーパーソンは奥様でした。ケアマネージャーさんに退院直後にご自宅で担当者会議を開いていただき、今後起こりうるだろうことを説明もうしあげました。その後、自宅での定期的な輸血が始まりました。ご本人様からは「自宅で大学病院と同じく輸血できるなんて、待ち時間や通う負担を考えると助かる」とご評価いただきました。最初は月に2回程度の輸血でしたが、徐々に病状の進行とともにADLの低下や輸血依存性が増し、次第に週1回の輸血となっていきました。また、時折白血病による免疫不全のため肺炎を合併したため、その都度抗生剤の点滴などをしておりました。しかしそれでもご本人様はいつも笑顔と冗談を交えてお話くださり、「(自宅で)母ちゃん(妻)といっしょでよかった」とおっしゃっていました。約半年の経過ののち、白血病の増悪のため、ご家族様とともに自宅で最期を迎えられました。

在宅で輸血を実施できるだけの社会的な基盤はまだ十分ではありませんが、輸血依存状態の患者様の通院負担が少しでも減るように当院が貢献できればと思っております。亡くなられた患者様にご冥福を申し上げます。